MZ-700/1500とは

 MZとはシャープが1980年代に発売したパーソナルコンピュータ(略してパソコン、 当時はマイコンと呼んでいた)です。 MZシリーズには MZ-80K 系と MZ-80B 系とに分かれ、前者には MZ-1200/700/1500などが属し、 後者には MZ-2000/2200/2500などが属します。

 MZ-700 は CPU に Z80A(3.6MHz) を使用した 8bit パソコンです。3種類のタイプがあり、 オプションなしのMZ-711(79,800円)、データレコーダ付きの MZ-721(89,800円)、 データレコーダとカラープロッタプリンタ付きの MZ-731(128,000円) があります。
 特徴は「クリーンコンピュータ思想」です。電源を入れるとモニタプログラムのみが起動します。 簡単に言うと、名言「コンピュータ、ソフトがなければただの箱」の箱です。そのため BASIC をカセットテープから読み込ませました。

 パソコンを持っていないとき(当時はナイコンと呼んでいた)は、店頭にあるデモ機を 触っていました。しかし、店頭では電源を入れただけの状態だったため、MZ よりも ROM BASIC が 起動する他社製のパソコンを触ることが多かったです。

 私は中学生の頃に MZ-700 に出会いました。 なぜ MZ-700 を選んだのかは記憶にありませんが、価格の安さだったように思います。 購入検討の対象であった富士通製 FM-7 は 126,000 円、シャープ製の X1 は 155,000 円でした。 NEC製の PC-6001 や日立製のベーシックマスターも検討していました。 しかし当時はお金など持っているはずがなく、お年玉やお小遣いをためて買ったのを覚えています。
 MZ-1500 は MZ-700 と同じ CPU Z80A(3.58MHz)を使用したパソコンです。しかし、グラフィック が使用できること、6オクターブ3重和音のサウンド、新しい記録媒体であるクイックディスク (以下 QD)を搭載しており、MZ 大好き少年には「もう買うしかない」と思わせる仕様でした。 また、MZ-700 との互換もあるという決定的なパンチもあり、すぐに購入しました。
 当然 購入するときはお金が足りず泣く泣く MZ-700 を売ったのを覚えています。 そして BASICテープ も一緒に売ってしまったため、その後購入した苦い記憶も...。

 今回のために 思い出のMZ-1500 を物置から出してきましたが、驚いたことにどこも異常がなく 動きました。しかし、QD ドライブは動作が鈍く読み込みエラーが出ることがありましたが、 どうにか動いています。

【追記】 久しぶりに起動してみると、QDドライブが動かなくなりました。分解してみると御多分に洩れず ベルトの劣化が原因でした。詳しくはこちら
マニュアル
 MZ-1500 本体と周辺機器のマニュアルです。

 A4サイズ、32ページの初心者を対象としたマニュアルです。
 今更ですが、QDCOPY などの OBJ ファイルが RUN コマンドで起動できることを知りました。
 また、BASIC のマスター QD をコピー(バックアップ)する方法が書かれているなど親切な作りです。
 A5サイズ、99ページの OWNER'S MANUAL です。MZ-1500 本体や周辺機器について書かれています。
 284ページの BASIC LANGUAGE MANUAL です。「プログラムとは」から始まり、プログラミングに 必要なことが書かれています。
 BASIC の命令語の横には読み方まで書いてあります。
 6章からなる付属ソフトウェアについてのマニュアルです。
 デモエース以外はあまり起動しませんでした。
 カラーディスプレイのマニュアルです。 RGB 入力のディスプレイで MZ-700/ 1500/2000/2200 に 対応しています。14型で重さは13.5 kg です。
 故障のためすでに廃棄されています。
 ボイスボード(別売)のマニュアルです。本体に内蔵すると音声が出るようになります。
 BASIC やアセンブラでボイスボードを使うためのサンプルプログラムが書かれています。
 回路図や信号に関する情報も書かれています。
 故障のためすでに廃棄されています。
 ジョイスティック(別売)のマニュアルです。256段階の入力が可能なアナログスティック です。
 MZ-1500 発売以前のものであるため、MZ-700 用のサンプルプログラムが書かれています。 また、アセンブラでのサンプルプログラムや回路図もあります。
 アナログスティックであるためゲームに向いていませんでした。今考えるとマウスの 代わりに使用すると操作性の良いゲームが作れた気がします。
 MZ-1500 用の HuBASIC Ver2.0(別売) のマニュアルです。504ページもある本格的なマニュアル です。
 付属の BASIC でも十分だったため、HuBASIC の出番は少なかったように思います。
 X1 の BASIC ゲームを移植するには HuBASIC を使用した方が簡単です。
 MZ-1500 のご愛用者カードです...って、送っていませんでした。シャープさんごめんなさい。
カタログ
 物置から MZ-1500 と一緒に出てきました。思ったより保存状態は良いです。当時を思い出しながら 読み耽ってしまいました。

 MZ-700 シリーズのカタログです。ハメコミ合成写真に HUDSON SOFT の PUCK PUCK という パックマンもどきのゲーム画面があり、時代を感じさせてくれます。
 これも MZ-700 シリーズのカタログですが、多少内容に変更があります。パックマンもどきの画面は なくなりました。やはり問題があったのでしょうか。
 MZ-1500 の新製品ニュースです。QDの文字が輝いています。当時は黒いボディというのは 少なかったので、驚いた記憶があります。
 MZ-1500 のカタログです。イメージキャラクターは「わらべ」の倉沢淳美さんです。 ハメコミ合成画面は、説明不要の「サンダーフォース」です。
 QD ドライブの新製品ニュースです。MZ-2200/2000/ 700シリーズ用です。QDインターフェイスを 含めると 34,600円にもなり、MZ-1500(89,800円)の安さに驚きます。
仕様
 カタログに表記されている仕様です。現在のPCと比較すると面白いかもしれません。

MZ-700 シリーズ
CPUZ80A(3.6MHz)
ROM4KB(モニタ)、4KB(キャラクタジェネレータ)
RAMメインメモリ 64KB、4KB(V-RAM)
キーボードASCII準拠キー配列
上下左右独立カーソルコントロールキー
ディファイナブルファンクションキー
INST(インサート)、DEL(デリート)キー
ディスプレイ
 (オプション)
画面構成 40桁×25行
グラフィックフォント 80×50 カラー8色
家庭用TV又は専用モニタを使用
●家庭用カラーTV接続用RFモジュレータ内蔵
●RGB端子付
●コンポジット端子付
インターフェイスプリンタインターフェイス、カセットインターフェイス内蔵
データレコーダ
 (オプション)
本体内蔵型、転送方式/シャープPWM方式、
転送速度/1200bit/s・オーディオカセットテープ使用
プリンタ(オプション)カラープロッタプリンタ本体内蔵型
スピーカ内蔵 音声出力 最大 500mW
時計機能内蔵
電源AC 100V ±10% 50/60Hz 消費電力 20W
使用状態温度/使用時 0℃ ~ 35℃
湿度/使用時 85%以下
外形寸法・重量MZ-731: 440(幅)×305(奥行)×102(高さ)mm・4.6kg
MZ-721: 440(幅)×305(奥行)×86(高さ)mm・4.0kg
MZ-711: 440(幅)×305(奥行)×86(高さ)mm・3.6kg


MZ-1500
CPUZ80A(3.58MHz)
ROMモニタ 12KB、キャラクタジェネレータ 4KB
RAMメインメモリ 64KB、ビデオRAM 4KB
PCG(プログラマブルキャラクタジェネレータ)24KB (RGB…8KB×3)
キーボードASCII準拠、アイウエオ配列、キー数69
(4カーソルコントロール、5ファンクションキー、
1コントロールキー、1インサート、1デリート)
表示能力
テキスト40字×25行
グラフィック320×200ドット+24文字のPCG(8色)
または1000文字のPCG(8色)
パレット機能(瞬時色変換機能)
ビデオ出力RGB端子
コンポジット端子
RF端子(家庭用カラーTV接続端子)
サウンド6オクターブ3重和音のPSG 2チャンネル内蔵
スピーカ1個内蔵
外部オーディオ端子2チャンネル
QD(クイックディスク)片面64KB、両面128KB、64KBのロード時間 約8秒
ボイスボード本体内蔵オプション(MZ-1M08)
RAMファイル本体内蔵オプション(64KB・MZ-1R18)
ソフトウェア漢字対応BASIC(QD)
住所録、パターンエース、 ミュージックエース、
デモエース、その他ユーティリティ
外部端子プリンタ/MZモードとセントロモード切換
一般テープレコーダ端子/データレコーダ(MZ-1T03)端子
ジョイスティック端子/2個、 I/Oバス/1個、I/Oスロット/1個、
ボイスボードI/Oスロット/1個、 RAMファイルI/Oスロット/1個
拡張ユニット2スロット(オプション)
時計機能内蔵
電  源AC 100V ±10% 50/60Hz
外形寸法幅440×奥行305×高さ109mm
重  量5kg


MZ-1F11(QDドライブ)
ディスクサイズ2.8インチ(ハードケース付き)
記憶容量MAX64KB(片面)、裏返し使用で両面MAX128KB
記録方式MFM方式
読込時間64KBの読み込み約8秒
外形寸法幅151×奥行128×高さ61mm
重量1.2kg

■ 余談 その1
 MZ-700の S-BASIC のデモと Hu-BASIC のデモに登場する船(アルゴー船)には、 多少の違いがあることがわかりました。しかも Hu-BASIC の方は、オール(?)が1本多い。 「だから何?」といわれればそれまでですが、今回のようなエミュレータで実行できたから 発見できたのかもしれません。
<-- Hu-BASICの船   <-- S-BASICの船

■ 余談 その2
 MZ-1500 のペイントなどでノイズが発生しますが、エミュレータでも聞こえるような気がする のは私だけでしょうか?
 ちなみに、サラダの国のトマト姫のタイトル画面でのノイズは、口ずさめるほど覚えています。

■ 余談 その3
 シャープが発行していた MZ SOFTWARE INFORMATION です。なぜか No.14 しか持っていません。
 タイトルは「MZ-1500 BASICMANUAL に対する補足説明及び訂正の件」となっています。

■ 余談 その4
 テクノソフト製シューティングゲーム「サンダーフォース」のタイトルです。 横スクロールするタイトルはとても斬新でした。つなげて見るとこんな感じだったのですね。
 文字が大きかったためモニタから離れて見たりしていました。


■ 余談 その5
 古い書籍などと一緒に出てきたものです。
 上から「セールス&リファレンスブック」「MZ-711同梱カード」「QD保護シート」です。
 セールス&リファレンスブックは、通っていたマイコンショップの店長さんに貰ったものです。 AKD's siteで見てから気になっていましたが、 古い書籍に挟まれて出てきました。表紙にセールスマン用(秘)とあるように「ターゲット」や「セールストーク」に ついて書かれている販売店向けの内容でした。当時は雑誌付録などにあった(秘)手帳の(秘)と 同程度に思っていたかもしれません。
 そして今になって気が付いたことが2つあります。セールストークのページに印刷されている MZ-1500 の文字が裏返しに なっていました。これは何かの暗号に違いないと思います。 そして、箱単位で買ったこともある QDメディア(450円/枚)は標準価格で購入していました。 このマイコンショップでは、割引商品や特価品は皆無でしたが当たり前のことだったのでしょう。
 MZ-711同梱カードは MZ-711 を購入した時に入っていた何に使うかわからないカードです。 昭和の家電には取扱説明書と一緒に入っていた記憶があります(MZ-1500のは無いか)。持っていたラジカセは MZ-711 との相性が悪く、 すぐにデータレコーダを追加して MZ-721 にレベルアップします。
 QD保護シートはQDドライブに挿入して、輸送中のトラブルから守るものです。 輸送する際には使っていただきたいアイテムです。

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